2021/09/24 16:11
この本の著者、早島天來宗師(筆名・正雄)は、古代中国に生まれた「道」TAO(タオ)を現代にわかりやすい言葉でよみがえらせ、簡単にできて即効性のある気の健康法「導引術(どういんじゅつ)」を日本に広めました。 その早島天來宗師が登仙(とうせん)されて二〇年が過ぎた今年、天來宗師の書かれた著作をこうして新たに出版できることを、とても幸せに思います。
そして日本では、今年の五月に新天皇が即位され、新たな元号が「令和(れいわ)」と決まりました。その英語の訳は、「Beautiful Harmony (美しい調和)」です。まさにこれからの日本が、世界の国々と、そしてまた地球の自然と、美しい調和を保てる国になってゆければ、という願いがこもったすてきな元号となったのです。
この「美しい調和」という言葉は、まさに「道」TAOそのものなのです。 それは、「道」TAOの生き方、つまり天地自然に沿(そ)って、水のように対立せずに、すべての存在と調和して生きるという哲学を象徴している言葉なのです。「道」TAOを伝えている私は、とても心強く、うれしくなりました。
そしてまた、この言葉は、紀元前の中国に生まれた「道」TAOの哲学書『荘子(そうじ)』の中に書かれた「導引」という言葉を、晋(しん)(二六五~四二〇年)の時代の李頣(りい)という人が註釈(ちゅうしゃく)した言葉でもあるのです。 それは「導引者、導気令和、引体令柔」という文章で、「導引とは、気を導いて調和し、体を引いて柔軟にする」という意味をあらわしています。
ですから、私たち日本人にとって、令和の時代は、無為自然(むいしぜん)の生き方を学び、自然との調和を思い出す時代であり、また体の自然を取り戻すための「導引」という健康法を学ぶ時代でもあると言えるのではないでしょうか。
現代は、すべての物事がIT化、そしてさらにAI化されつつあります。私たち人間がそういった技術を使って便利に楽しく生活を送っているうちはいいのですが、それらの技術に追いかけられ、使われてしまい、ストレスを感じるようにならないよう、気をつけなければいけません。
では、どうすればいいのでしょうか。
それには、この本でご紹介した「道」TAOの生き方を実践することであり、さらに「気」を感じて生活することです。そしてまた、自然な体に戻るための「導引術」を、まさに歯磨きをするように、日常生活に気楽に取り入れて、体を無為自然の状態にリフレッシュすることが大事なのです。
実は科学技術が発展して、日常が便利になればなるほど、私たちは自分の体の無為自然を忘れ、睡眠や食事は季節を忘れ、自然でなくなり、また目や頭、そして上半身ばかり酷使(こくし)する生活となり、体全体の調和が失われていきます。
こんな時代に、天來宗師が伝えた、自分で健康になれる、「気」の利用法、そしてその行法(ぎょうほう)「導引術」についてわかりやすく書かれた、この『心と体を整える「気」のすべて』を出版できますことは、本当にうれしいことです。
一人でも多くの方がこの本を手にされて、心と体を整える「気」の利用法、秘訣(ひけつ)を知っていただき、さらに元気に楽しく人生をすごしていただければ幸いです。